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2007.03.06 Tue
今日はアルコールがはいってます。
良い感じに酔ってるので、不実行になりそうなので今の内に~




ソファにぐったりと倒れる様に転がっているウェイトに、ニーナは顔をしかめた。
しかも食べるようにと渡したスープは手付かずでテーブルの上に置かれたままだった。
「ウェイト、あなたちゃんと食べなきゃだめよ。
魔法使ってばかりじゃ自分が身体壊すわよ」ニーナの言葉にウェイトは疲れた声で、分かってるよ、と返した。
わかってないじゃない、と言うようなニーナのため息に、ウェイトはゆっくり身体を起こした。
昨日の早朝からの移動と、慣れない鉱山での作業。さらに、習っているとはいえ、まだ未熟な魔法を連続で使った為、ウェイトはかなり疲労していた。
冷めかけたスープは、冷たい感触と共に喉を滑り落ちた。
深く息をすると、少し元気に成った気がした。
「お昼まで眠りなさい。みんなが戻ってきたら起こすから、その時の体調で午後働くかどうか決めたら良いわ」
台所から聞こえるニーナの声にウェイトは短く「そうする」とだけ帰して、再びソファに横になった。
カズスの村の会議に使うらしいこの館は、今ウルから来た人々が寝泊まりするのに使われていた。
安物っぽいソファは意外と寝心地が良くて、ウェイトはすぐに眠りに落ちた。
「あら…。この子ったらこんな所で寝て…」ニーナはウェイトの寝顔を見て、クスクスと笑いを溢した。
大きくなったとは言え、寝顔は小さい頃と大して変わらないわね、と。
しかし、その笑顔はすぐに陰りを見せた。
不意にパタパタと雨が窓を打つ音が響き始めたから―
また、事故が起きないと良いけど…。
ぼんやりと窓の外を見ながら、ニーナは眠るウェイトにブランケットをかけた。


「…おい、起きろ。ウェイト。」
「ん…ぁ?」
足を軽く蹴られてウェイトは目を開けた。
少し体を起こすと、肩からニーナのブランケットが滑り落ちた。
目の前には両手に皿を持った二つ上の兄・ハンス。
「今何時…?」
「まだ昼前だ。
雨が酷いから一時休止だとさ」
ほれ、と目の前に差しだされた皿は、昼食なのだろう。
パエリアとサラダががっつり盛られていた。
魚介類がやたら多いのは、カナーンから援助が届いたからかな、と考えた。
つーかこんなに食えねぇよ、と思いながら、ウェイトは皿を受け取った。
「町中が雨に敏感になってるな…」
とウェイト。
「仕方ないさ。雨を押して助けようとして二回目の落盤だからな…」
午前中から働いて腹が減ったのだろう、ハンスは口に頬張ったまま答えた。
「エドワードは?あいつ大丈夫か?」
ハンスはウェイトを横目で見て笑みを溢した。
「今のお前よりピンピンしてるぜ」
カズスの鉱山では、まだ身体が出来て居ない15歳以下の子供が山に入る事を禁じていた。
まだ14歳のエドワードは外に石を運び出したりするのがメインだ。
キィと音を立てて館の玄関が開いて、パタパタと小さな足音を立ててフィラが入って来た。
雨に濡れたまま、ぱたぱた部屋に入ってきたフィラを、マリーの声が追いかけてきた。
「フィラ!そこでちょっとまってなさい!」
フィラはきょとんとして振り返ったが、再び駆け出した。
そんなフィラを呼び止めたのはハンスだった。
「フィラ。こっちおいで」
ハンスの声にフィラはウェイトとハンスを見つけてにっこりと笑った。
ハンスは近くにあったタオルを手に、駆け寄ってきたフィラを抱き止める。
ガシガシと雨に濡れた髪を拭いてやると、フィラは目を閉じて少し肩をすくませた。
水滴がついた服もぽんぽんとタオルで叩くように拭いて、ハンスはフィラを抱き上げた。
フィラは嬉しそうにハンスに抱きついた。
「ハンス、おひげザラザラー」
頬が触れ合うなり嫌ーと言うようにフィラは口を尖らせたが、目は笑っていた。
ハンスもウェイトも昨日からひげを剃って居なかった。
「ウェイトはー?おひげー」
フィラがそう言って小さな手を伸ばすので、ウェイトはフィラの頬に、不精髭の生えかけた頬を寄せた。
フィラを抱き寄せて、わざと額に顎をあてる。
「ウェイトもおひげザラザラーっ」
きゃーっとフィラはウェイトの腕から逃れようといやいやするが、ウェイトは更にフィラを抱き締めた。
「ごめん、ハンス・ウェイト。フィラみてて頂戴ー」
玄関先にから姉が顔を覗かせて言う。
わかったよ、とハンスは手を上げた。
「ねーウェイト。トマト嫌いなの?」
明らかに意思をもって残されているトマトを見て、フィラは言った。
「フィラ、食べたい」
と、膝の上からウェイトを上目使いで見上げた。
「いいよ」
ウェイトが答えると、フィラは嬉しそうにフォークでトマトを突き刺した。
「トマト好きか?」
「うん、大好きっ」
にっこり笑って、フィラはトマトを頬張った。
膝の上のフィラと弟のケイルは同い年。
体格もそんなに違わないのに、フィラはずいぶん軽い気がした。
大人しいからかな、とウェイトは思った。
ケイルがこんなに大人しく膝に座っていることなんて、滅多にない。寧ろケイルと居る時間は格闘に近い。
「どした?フィラ」
ウェイトの膝の上のフィラが、フォークを握り締めてうつ向いているのに気付いて、ハンスはフィラを覗きこんだ。
「お父さんね、フィラにカズスに行くってゆったの。
なのになんでカズスにいないの?
フィラはお父さんに会いたいの。」
淋しそうに言うフィラを見て、ウェイトもハンスも一瞬顔を見合わせた。
「ロイ…フィラのお父さんな、今お仕事してるんだ。
終わったら、フィラに会いに来るから、いい子にして待ってるんだぞ」
グリグリとフィラの頭を撫でてハンスは言った。

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