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2007.10.31 Wed
なんだかまともに上がってこれない日々が続いています、が、とりあえず生きてます。

久しぶりに世界樹をやったら、なんだか楽しくてついつい潜ってしまっておりました。

勢いあまってなんだかお話も書きたくなったらしいです?
相変わらず、会話が多いなぁ…(反省)

っと、更新は明日になりそうで・・・す・・・。
出かけていたら更新準備ががががが・・・

拍手、ポチポチありがとうございます~v
その無言の愛に気力を頂いておりますv



ひとりで飲むのは、嫌いじゃない。
ざわざわとした喧騒の中、見回すとさまざまな人が居る。
樹海探索を終えて、一日の終わりを締めくくる飲み会をしているギルド。
ギルドのメンバーの一部で飲んでいるとおぼしきグループ。
あからさまにナンパをしているであろうグループ。
ギルドの皆と夕食をとって一息ついた後にちょっと抜け出して、それらを眺めながらグラスを傾けるのは、ラミにとってささやかな楽しみでもあった。
すっかりお一人様常連となって、女将だけでなくカウンターの店員ともだいぶ親しくなった。
そういえば、カレンを拾ったのもこの酒場だったなぁ、とふと思い出して小さく笑みをこぼした。

キィ、とすぐ傍らの椅子の軋む音にラミは視線をそちらに向ける。
椅子にかかった手は、男の手。
鍛えられたその手は、男がそれなりに経験をつんだ冒険者であることを物語っている。
見上げた男は、背に大剣を背負っていた。
「隣を良いかな」
その言葉に、ラミは微笑して答えた。
「ええ、どうぞ」
ソードマンの男はラミの言葉を待ってから、椅子に座る。
「ビールを」
席につくと同時に酒を注文した男に、ラミは小さく笑みをこぼした。
「あら、明日は探索はお休み?」
「ああ。しばらく、な。覚えてたのか?」
男は横目でラミを見る。
「探索の前日にはお酒を飲まないこと?」
「ああ、仕事の前には酒は飲まん。…それにしても、まともに話をするのは久しぶりだな。2・3年ぶり…か?」
男の言葉にラミは少し考えた。
「うん。そうね。そのくらい経つかも。
今でも、フリーでやってるの?」
「いや。ここ最近は、昔なじみと組んでたんだが…」
と、男が頼んだビールがカウンターに置かれる。
男はビールを手にして、ラミを見る。
「久しぶりの再会に」
男の言葉にラミは小さく肩をすくめた。
「そんな柄じゃないでしょうに」
ラミのグラスと男のビアグラスがカチンとぶつかった。
「それで?最近はどうなの?」
「ああ、そうそう。昔のなじみのギルドに入っていたんだ。
で、その昔なじみの野郎がギルドの女に手を出してな」
分かるだろう?というように男はラミに目配せする。
ラミはあきれたように小さく笑った。
「まぁお察しのように、破局と一緒にギルドも崩壊つうわけだ」
頬杖をついた男は、空いた掌を霧散を表すようにぱっと上向かせた。
「あらあら。大変だわね」
くすくす笑いながらラミが返すと、男はそれほどでもないさ、と言葉を続けた。
「お前ほどじゃないさ」
ラミは、一瞬きょとんとする。
「私?」
「ああ。聞けば、最近子守ばかりしてるそうじゃないか。
まだ浅層にいる、新米ギルドの、お守りしてるって聞いたぞ」
子守、その響きにラミは自嘲気味に笑った。
たしかに、冒険者としては年長ではない自分が最年長、エミリアに至っては10歳前後と幼い。
が、決して子守とは違う。
「別に子守ってわけじゃないわよ」
ラミはそう返しながら男を見やると、妙に真剣な眼差しと目がある。
「ラミ、俺たちと組まないか?」
そう問われた低い声音に、一瞬ぞくっとする。
「フリーでやってたころから、レンジャーは何人も見てる。
いまエトリアで名が売れてるレンジャーたちとも組んだことがある。
その中で俺はお前を5本指に入れてやる」
すこしあきれたようにラミは息をついた。
「買いかぶりすぎよ」
「俺と組んだらお前をエトリア一のレンジャーにしてやる」
ラミは笑い出した。
破顔して、声を上げて笑った。
「冗談でしょう?」
男は、笑うラミを見て、視線を逸らさずに言った。
「お前はまだ若い。まだまだ伸びる。だから、俺と来い」
男の真剣な目に、ラミは笑うのを辞めた。
行くか行かないか、答えを探したその一瞬。
ダンッと傍らのカウンターに強く手が置かれた。
驚いて振り返ると、浅黒い肌に白髪の少年。
怒りを含んだ、茶色の瞳。
「アレシ…」
ラミが名前を呼ぶのをさえぎって、アレシアはラミの手を掴んで言った。
「帰るぞ」
それだけ言って、ラミの手を半ば引きずるように引っ張ってアレシアは歩き出した。
「ラミ。明日、待ってる」
店のドアを出る直前に、ラミの背中に男の声が届いた。
金鹿の酒場をでてしばらく歩いて、アレシアはふと足を止めた。
ラミに背を向けたまま、アレシアは言った。
「行くのか?」
ラミは答えずにアレシアの背中を見る。
まだ自分より少し高いくらいの身長。これから、まだ伸びるだろう。
「別に、別に俺は、ラミが行きたいなら…行けば良いっておもう。
でも、皆は。皆はやっぱりラミに居て欲しい…んじゃねぇかな」
自分と皆を別にする辺り、可愛くないわねぇ、とラミはクスッと笑った。
「何笑ってんだよ!俺は真剣に…っ」
「行っても良いの?」
ラミが問うとアレシアは一瞬言葉につまり、目が泳ぐ。
「行きたいなら行けば良いだろ!俺はラミがしたい事に口出すつもりはねぇ」
だったら何で連れ出したの、と思いながらラミは笑って少し背の高いアレシアを見上げた。
「そう」
短くラミが返すと、アレシアは少し怒ったような目でラミを見た。
「勝手にすればいいだろ」
ほんっと可愛くない。ラミはそう思いながらアレシアを見て小さくため息をついた。

翌日、アレシアは一緒に樹海に入ってもラミと視線を合わそうとしなかった。
いつものように夕食を皆ととってからラミは酒場へ足を向けた。
何か言いたそうなアレシアの視線を、なんとなく感じながら。
ソードマンの男はカウンターに座っていた。
「早いのね」
ラミが声をかけながら隣に座ると、男は小さく笑った。
「…そりゃぁね。暇人だからな」
言っちゃいけないこと言っちゃったかしら、と思いながらラミは笑い返して切り出した。
「昨日の話…」
「いきなり本題かい」
男は無粋だねぇ、と笑った。
「で?色よき返事はもらえるのかな」
「…辞めておくわ」
その答えにあまりがっかりした様子も無く男はそうか、と言った。
「ま、予想通りっつうとこかな。あんな坊やが居るんじゃな」
「ええ。まだまだ子守してあげなきゃいけないみたいだわ」
くすくす笑うラミを見て、男は笑った。
しばらく話しながら酒を飲んで、別れ際に男は言った。
「また、いつかな。子守に飽きたら言えよ。いつでも歓迎する」
「覚えておくわ」
軽く拳をぶつけて、互いの無事と成功を祈って別れた。

長鳴鶏の宿に戻ると、宿の前で落ち着かない様子で座っているアレシアの姿が目に付いた。
「ただいま」
声をかけると、ただぶっきらぼうに「おかえり」と返ってきた。
「待っててくれたの?」
ラミが問うと、アレシアは一瞬見上げてきたあとプイッと視線を逸らした。
「そんなわけねぇだろ。ただ出てきただけだ」
特にそれ以上はなしかけてくる様子が無かったのでそのまま通り過ぎて宿に入ろうとすると、すれ違いざまに腕掴まれた。
…ただ出てきただけにしては冷たい手で。
「アイツのとこ…行って来たんだろ?」
低く問う声は、少し不安げに揺れている。
「ええ。会って来たわ」
じらすように、ラミは本題を言わずに答えた。
「行く…のか?」
「…行かないわ」
その答えに、アレシアはきょとんとして見上げてくる。
「行かないって言ったの。なぁに?その顔」
行かない、その返事を聞いた途端に、さっきまで憂鬱そうな顔をしていたアレシアが嬉しそうに笑顔を浮かべる。
「そっか」
にっと笑って、アレシアは立ち上がった。
ラミの腕を掴んでいたアレシアの手がラミの手を掴む。
そして宿に入って部屋に向かう廊下に足を運ぶ。
「そっか、行かないのか」
嬉しそうな顔で再び繰り返したのを見て、ラミはくすくす笑う。
一日中、様子が変だったのはやっぱりこのせいだったのか、と。
「何笑ってんだよ」
「だって」
アレシアが可愛いから、と言ったらきっと怒るだろうと思って口には出さないが、ほかに言いようもなくてラミはくすくす笑う。
「ったく、人が心配してたっつうのに」
「心配してたの?」
「当たり前だろ!皆は困るだろうし…。俺は、別にラミがしたいようにすればいいと思うけど」
その言い訳じみた言い方に、ラミは更に笑った。
「さっきから何なんだよ」
笑うラミを不機嫌に見て、アレシアは部屋のドアに手をかける。
「あ、アレシア」
「何だよ」
不機嫌な声にラミは言った。
「手」
つないだまま入るの?と言外に言うと、途端に手を振りほどかれた。
自分からつないだくせに、と思ってみると、背を向けていても分かるほどアレシアの耳が真っ赤になっていた。
可愛いわねぇ。
そう思いながらアレシアを見てラミはくすくす笑う。
アレシアは不機嫌にドアを開けた。
開いたドアから、光がとともににぎやかな笑い声が響いてくる。
「アレシア、ありがとうね」
ラミはアレシアの背中に言った。
「おう」
とぶっきらぼうな返事が肩越しに返ってきた直後。
ボスッと音がしてラミの目の前でアレシアの顔面に枕が直撃した。
「あっわりぃ!!」
恐らく投げた張本人であろうリュースの声を聞きながら、ラミは爆笑した。
この子達と一緒に居る時間が、すごく好きだ。
そんな思いを感じながら。
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