2007.03.09 Fri
あ…リングのナビゲーションバーを付け直したら、リンク間違ったみたいですね、私…。
相変わらず間違い方が間抜けで私らしいっていうか。
その間いらした方すみませんでした。(ぺこり)
そして、やっと家の子が出揃って最終話。
―どうするの?あの子。
―どうするって言っても…。家じゃ引き取れないわ。主人も…もう鉱夫としては働けないし…
―家だって無理よ…。なにも、子供だけ残して…ねぇ…
カズスの広場で、女達が小声で話していた。
ウェイトとハンスはその会話を黙って聞いて居るニーナを見つめていた。
今回の事故で父親を亡くし、孤児となった女の子の引き取り手をカズスの女達が決めかねているのに、ニーナが立ち止まってしまったから。
長くなりそうだと、ウルの皆は、先に帰して、ウェイトとハンスはニーナを待っているのだ。
ウェイトが隣のハンスを見ると、ハンスは少し諦めたように笑って肩をすくめた。
さすがにニーナもそろそろ帰ると言い出すだろう、ウェイトはそう踏んでいた。
その時ニーナが口を開いた。
「もういいですっ
私が連れて帰りますっ」
少し離れているウェイトにも、ニーナがそう言ったのがはっきりと聞こえた。
ウェイトとハンスはやっぱりと顔を見合わせた。
自分達もきっとこうしてニーナの元に来たんだろうと、二人は小さく笑った。
少し怒った様子で戻ってきたニーナは二人の顔をみて、またやっちゃったと苦笑した。
「トパパに怒られるかしら?」
「別に今さらいいんじゃない?」
ハンスは軽く言ってニーナの手から女の子を抱き上げた。
大きな瞳で見上げてくる女の子の頭を撫でて、まだ色素が薄く、光が透けて赤毛の様に見える細い髪の毛にくちづけた。
「ミリアム、ね。」
これからよろしく、と今日はしっかり髭を沿った頬を、柔かな頬にすりよせた。
そうしてたどり着いたウルに程近い小さな森の中。
「てやっ」
そんな声と同時に、ウェイトの頭上の木の枝が揺れた。
何となく嫌な感じがして、ウェイトは半歩後ろに下がった。
前髪をかするように、木の上から何かが飛び降りてくる。
シュタッと猫のように飛び降りてきたのは、緑がかった茶色の髪の少年。
年の頃はまだ6・7歳。
「ちぇ。避けんなよー、ウェイト」
つまらなそうに、見上げてくる小生意気な少し吊り目気味な双貌。
「お前の考える事くらいお見通しだっつぅの」
ウェイトは屈みこんでにやり、と笑う。
ケイルはつまらなそうにぷいっと顔を背けると、また森の中に駆け出した。
「ったく。誰に似たんだか」
そう誰にともなく毒つくと。
「貴方の小さい頃にそっくりよ」
と、呆れたニーナの声が帰って来た。
「おかえり」
ガサッと木の葉の擦れる音と共に、また上から男の子の声が降ってきた。
短い黒髪に、素直そうな黒い瞳。
「ただいま、ウォーレン」
ニーナがにっこり見上げて言う。
「…その子、どうしたの?」
ウォーレンはハンスが抱いているミリアムを見て言った。
さっきまで寝ていたが、今の騒ぎで起きたらしい。
ミリアムは目をぱちくりさせて周りをみていた。
「貴方達の、新しい妹よ。
仲良くしてね」
木の枝からスタッと飛び降りて、ウォーレンはハンスの腕の中のミリアムを見上げる。
ミリアムは脅えたようにウォーレンを見返した。
「抱っこしてもいい?」
「ん。落とすなよ」
ハンスはウォーレンにミリアムを抱かせながら言う。
「うん、大丈夫」
ミリアムは泣くこともなく、きょとんとして周りを見回した。
「ウォーレーン!!」
森の奥から聞こえた声に、ウォーレンはハンスを見上げた。
「日が暮れるまでには帰ってくるのよ」
ニーナはウォーレンの手からからミリアムを抱き上げながら言う。「あと、ケイルがあんまり無茶しないように見ててね」
その言葉にウェイトやハンスは苦笑い。
「殺したってしなねーだろ、ケイルは」
と笑いを溢した。
森の中に駆け出すウォーレンを見送って、再びウルに向かって歩き出そうとした一同を、小さな声が引き留めた。
「待ってよぅ…」
今にも消え入りそうな声は、頭上から聞こえて、ウェイトとハンスは上を見上げた。
「なんだ?」
「お前も聞こえたよな、俺の聴き間違いじゃないよな」
暫し見上げていると、二人の遥か頭上の木の葉が不自然に動く。
「誰かいるのか?」
上にむかって呼びかけると、再び消え入りそうな声が降ってきた。
「おいてかないで…」
どこか聴き覚えのある声にウェイトとハンスは顔を見合わせた。
『……カーマイル?!』
「おい、カーマイルか?上にいんのか?」
ウェイトが叫ぶと、木の葉が揺れた。そして
「うん…」
と小さな返事。
「お前、馬鹿。なんでそんなとこまで登ったんだよ?!」
ハンスの声に、半分泣きそうな声で、「だって」と降ってきたが、続きは聴きとれなかった。
「カーマイル、自分で降りれるの?」
ニーナが見上げて言うと、暫し沈黙が訪れた。
「…これは、降りれないんだろうな…」
ニーナの腕からからミリアムを抱き上げながら、ハンスは続ける。
「登って来いよ」
ウェイトを見やりながらハンスは言った。
「何で俺が…」
と言いかけて、ウェイトは止まる。
ハンスはこれみよがしにミリアムを抱き上げていた。
「あ」
ケイルの前を歩いていたウォーレンがそんな声を上げて立ち止まった。
「なに?」
「カーマイル、木の上に忘れてきた」
あ、と言うようにケイルも口をあけた。
「…まいっか…」
「いっか…」
帰って居なかったら探しに行こっか、と二人は顔を見合わせた。
相変わらず間違い方が間抜けで私らしいっていうか。
その間いらした方すみませんでした。(ぺこり)
そして、やっと家の子が出揃って最終話。
―どうするの?あの子。
―どうするって言っても…。家じゃ引き取れないわ。主人も…もう鉱夫としては働けないし…
―家だって無理よ…。なにも、子供だけ残して…ねぇ…
カズスの広場で、女達が小声で話していた。
ウェイトとハンスはその会話を黙って聞いて居るニーナを見つめていた。
今回の事故で父親を亡くし、孤児となった女の子の引き取り手をカズスの女達が決めかねているのに、ニーナが立ち止まってしまったから。
長くなりそうだと、ウルの皆は、先に帰して、ウェイトとハンスはニーナを待っているのだ。
ウェイトが隣のハンスを見ると、ハンスは少し諦めたように笑って肩をすくめた。
さすがにニーナもそろそろ帰ると言い出すだろう、ウェイトはそう踏んでいた。
その時ニーナが口を開いた。
「もういいですっ
私が連れて帰りますっ」
少し離れているウェイトにも、ニーナがそう言ったのがはっきりと聞こえた。
ウェイトとハンスはやっぱりと顔を見合わせた。
自分達もきっとこうしてニーナの元に来たんだろうと、二人は小さく笑った。
少し怒った様子で戻ってきたニーナは二人の顔をみて、またやっちゃったと苦笑した。
「トパパに怒られるかしら?」
「別に今さらいいんじゃない?」
ハンスは軽く言ってニーナの手から女の子を抱き上げた。
大きな瞳で見上げてくる女の子の頭を撫でて、まだ色素が薄く、光が透けて赤毛の様に見える細い髪の毛にくちづけた。
「ミリアム、ね。」
これからよろしく、と今日はしっかり髭を沿った頬を、柔かな頬にすりよせた。
そうしてたどり着いたウルに程近い小さな森の中。
「てやっ」
そんな声と同時に、ウェイトの頭上の木の枝が揺れた。
何となく嫌な感じがして、ウェイトは半歩後ろに下がった。
前髪をかするように、木の上から何かが飛び降りてくる。
シュタッと猫のように飛び降りてきたのは、緑がかった茶色の髪の少年。
年の頃はまだ6・7歳。
「ちぇ。避けんなよー、ウェイト」
つまらなそうに、見上げてくる小生意気な少し吊り目気味な双貌。
「お前の考える事くらいお見通しだっつぅの」
ウェイトは屈みこんでにやり、と笑う。
ケイルはつまらなそうにぷいっと顔を背けると、また森の中に駆け出した。
「ったく。誰に似たんだか」
そう誰にともなく毒つくと。
「貴方の小さい頃にそっくりよ」
と、呆れたニーナの声が帰って来た。
「おかえり」
ガサッと木の葉の擦れる音と共に、また上から男の子の声が降ってきた。
短い黒髪に、素直そうな黒い瞳。
「ただいま、ウォーレン」
ニーナがにっこり見上げて言う。
「…その子、どうしたの?」
ウォーレンはハンスが抱いているミリアムを見て言った。
さっきまで寝ていたが、今の騒ぎで起きたらしい。
ミリアムは目をぱちくりさせて周りをみていた。
「貴方達の、新しい妹よ。
仲良くしてね」
木の枝からスタッと飛び降りて、ウォーレンはハンスの腕の中のミリアムを見上げる。
ミリアムは脅えたようにウォーレンを見返した。
「抱っこしてもいい?」
「ん。落とすなよ」
ハンスはウォーレンにミリアムを抱かせながら言う。
「うん、大丈夫」
ミリアムは泣くこともなく、きょとんとして周りを見回した。
「ウォーレーン!!」
森の奥から聞こえた声に、ウォーレンはハンスを見上げた。
「日が暮れるまでには帰ってくるのよ」
ニーナはウォーレンの手からからミリアムを抱き上げながら言う。「あと、ケイルがあんまり無茶しないように見ててね」
その言葉にウェイトやハンスは苦笑い。
「殺したってしなねーだろ、ケイルは」
と笑いを溢した。
森の中に駆け出すウォーレンを見送って、再びウルに向かって歩き出そうとした一同を、小さな声が引き留めた。
「待ってよぅ…」
今にも消え入りそうな声は、頭上から聞こえて、ウェイトとハンスは上を見上げた。
「なんだ?」
「お前も聞こえたよな、俺の聴き間違いじゃないよな」
暫し見上げていると、二人の遥か頭上の木の葉が不自然に動く。
「誰かいるのか?」
上にむかって呼びかけると、再び消え入りそうな声が降ってきた。
「おいてかないで…」
どこか聴き覚えのある声にウェイトとハンスは顔を見合わせた。
『……カーマイル?!』
「おい、カーマイルか?上にいんのか?」
ウェイトが叫ぶと、木の葉が揺れた。そして
「うん…」
と小さな返事。
「お前、馬鹿。なんでそんなとこまで登ったんだよ?!」
ハンスの声に、半分泣きそうな声で、「だって」と降ってきたが、続きは聴きとれなかった。
「カーマイル、自分で降りれるの?」
ニーナが見上げて言うと、暫し沈黙が訪れた。
「…これは、降りれないんだろうな…」
ニーナの腕からからミリアムを抱き上げながら、ハンスは続ける。
「登って来いよ」
ウェイトを見やりながらハンスは言った。
「何で俺が…」
と言いかけて、ウェイトは止まる。
ハンスはこれみよがしにミリアムを抱き上げていた。
「あ」
ケイルの前を歩いていたウォーレンがそんな声を上げて立ち止まった。
「なに?」
「カーマイル、木の上に忘れてきた」
あ、と言うようにケイルも口をあけた。
「…まいっか…」
「いっか…」
帰って居なかったら探しに行こっか、と二人は顔を見合わせた。
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